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運動量保存則の正体(2)

前回の記事「運動量保存則の正体(1)」の続き。この記事は、御用鑑定の比較一覧のNo.16「衝突地点を特定する根拠」と関連事項の解説である。

Y鑑定とは、弁護側の意見書への反論として高知地検が御用鑑定士Yに照会した回答書のこと。科捜研算定書によると白バイが右にバンクしながら直進したことになり、物理的に矛盾すると弁護団側から指摘され、論理破綻した。地検は反論するために専門家に依頼するとしていたが、実は反論ではなく論理補充するために、部分的な鑑定をY鑑定士に依頼した。高知地検は、それだけ危機意識を持っていると言える。なお、警察向けの機関誌「月刊交通」の常連執筆者であるY鑑定士は、月刊交通2011年1月号に高知白バイ事件を取り上げている。そういう経歴の持ち主の鑑定である。

●科捜研算定書を否定したY鑑定
Y御用鑑定のポイントは、科捜研が白バイの後輪のタイヤ痕としていた痕跡を「実は前輪のタイヤ痕だった」と否定していることだ。科捜研算定書を差し換えるにしても、基本的なところを差し換えるとは、なんとも大胆な鑑定といえる。

科捜研算定書のとおり、後輪のタイヤ痕だとすると、白バイが右に深くバンクした姿勢で衝突したことになり、右車線で衝突したことにならないと指摘してきた。Y鑑定では、その指摘をごまかすために、「実は前輪のタイヤ痕とだった」かつ「白バイは直立姿勢で衝突した」と言い張り、原審で証拠とされた科捜研の算定書の内容を根本から修正しているのである。矛盾だらけの科捜研算定書を差し換える目的が、Y鑑定で科捜研算定書がでっち上げだったと認めたことになる。ズバリ言えば、警察を支援するつもりで誤爆したようなもの(笑)弁護団にとっては大きな意義があるだろう。

しかし、Y鑑定が事実を書いているかと言えばそんなことはない。警察・検察側は、後輪と言ったり前輪と言ったり、痕跡の認識が全く違っているにもかかわらず、運動量保存則という計算方法によって似た結果が出されている。欲しい数値を得るために、テキトーな御託を並べる胡散臭さについては「どっちもどっち」なのである。事実をねじ曲げようとすると、いたるところに綻びが出る訳だ。

●科捜研算定書とY鑑定の図面はウソだらけ
科捜研算定書とY鑑定回答書に掲載されている図面を当委員会で作図して比較検証してみた。左が科捜研、右がY鑑定の図面をベースにしている。いずれも停止地点のバスを基準にして「進路変更前のバス」を赤い破線で描いている。手間をかけて作図検証することで、科捜研とY鑑定のデタラメさが詳しく把握できた。
科捜研でっち上げ図面の検証
車体位置を1 m前にずらして描いた科捜研の図面。衝突時の車体は青線の位置になり、そのタイヤ位置は(b)になる。スリップ痕の始まりそうな位置に合わせて車体を配置したでっち上げ図面といえる。

まず、科捜研算定書の図面上のウソを曝くと、同書図7〜図9に衝突時の前輪位置(a)が不自然な位置に描かれていることだ。衝突点(黄色矢印)はバスの前端部であるため、衝突時の前輪は位置(a)ではなく、そこから1 mほど後ろの位置(b)にあるはずだ(前輪接地点から車体前端までのフロントオーバーハングは1.82m)。つまり、衝突してからバスが約1 m(c)直進し、そこから左回りに進路が変わったと図面に書かれている。

なぜバスが1 mほど直進した位置から進路が変わったのか明確な説明がない。図面に「最大押し込み時」と注釈が付けられていることから推測すると、衝突後衝撃の吸収が終わった時点(バスが動かされる寸前)の位置を示しているように思える。しかし、衝突時の最大減速度を40〜70Gとすると、60 km/hの白バイが衝突して速度が0になる押し込み時間を求めると0.025〜0.040秒*程度になる。バスの速度が10 km/hとすると、その時間で0.07〜0.11 m程度しか前進しないことになる。衝突後、1 mも前進してから急に進路が変わるわけがないのだ。

おそらく、左前輪をスリップ痕の始まりそうな位置(a)に合わせて作画したのだろう。当然だが、そこでタイヤが進路変更した痕跡はなく、Y鑑定がいう「1.5 mスリップ痕」でもないのである。たとえ「1.5 mスリップ痕」だとしても痕跡の向きがまるで違う。

さらに(a)の位置から停止したタイヤの位置(d)を結ぶ線と、バスの車体左側面を示す仮想線の成す角度(e)を15°としている。そもそも(a)が任意の(でたらめな)位置であるし、バスの車体左側面を示す輪郭線はあくまでも仮想線である。1°単位を求めるためには、極めて粗雑な話であり、作図しても不正確になる。実際、図で15°と書いているところの角度は13°ぐらいにしかならない。

前の記事で指摘しているが、図面の線を写真に重ねても位置関係が全く合わないことでもデタラメさがわかる。これらから、お粗末すぎる図面というより、悪質なでっち上げ図面と断ずるほかない。

●根拠がなく間違いだらけのY鑑定
Y鑑定の間違い
衝突地点とタイヤ接地点は平面上で重ならない。
Y鑑定の方は、 白バイの前輪タイヤ痕(A)を衝突点としてバスの車体輪郭線の角を重ねている。タイヤ接地点とタイヤ前端で当たる点は、上から見て決して同じ位置にならないが、重ねて描く失敗をしている。こういうところが散見されると、全体としての信用性が失われる。

不可解なのは、衝突点(黄色矢印)からの延長線と車体中心線の成す角度を比較している点だ。進路が変わった角度を示すために、衝突の方向を基準にするのはおかしい。車体中心線を基準とした変化で比較すべきである。また、進路がずれた角度を科捜研の式ではsinθとしているのに、なぜかY鑑定の式ではcosθとしている。これらは「目くらまし」のつもりだろうか(笑)
御用鑑定でっち上げ図面の検証
車体角度の根拠が無く、1点を軸にどのような角度にも描けるY鑑定の図面。速度に対して短すぎる空走距離(D)も論理破綻している。Y鑑定は白バイの押し込み時間を無視している。

細かく言えば、Y鑑定も科捜研もリヤアクスルを中心として車体が回転しているように作図しているが、これは誤りで自動車の進路変化を数値化するには、車体重心点を中心にした車体中心線の角度的な変化(ヨー運動)で表すべきである。車体の重心点に向かってまっすぐ力が加わった場合、車体を回す力ヨーモーメントが発生しないことを考えれば分かることである。自動車の運動を説明するには、重心点を通るXYZという3軸を中心とした回転運動で評価すべきだが、基本的な作法を守らないなど、ちょっとお話にならないなという印象である。

Y鑑定の図面で致命的にデタラメな点は、タイヤ痕(A)をバスの角に合わせているが、そのバス車体角度(B)が任意の(でたらめな)位置である点だ。タイヤ痕(A)の一点だけを合わせても、車体角度はどのような角度(C)にも描ける。Y鑑定でも、バス車体角度が(B)であるべき根拠を示さず「バスの飛び出し角度82度」となるようにバスを配置したでっち上げ図面といえる。当然だが、バスは停止していたため進路が変わる前の痕跡なぞあるはずがない。きちんと説明できる根拠が無いため、必然的にでっち上げになるわけである。

さらに、Y鑑定の図では衝突時の左前輪の位置と「1.5 mスリップ痕」の始まり位置の距離(D)が1.0 mほどにしかならないことが分かる。2.0 mのスリップ痕とすると、距離(D)は0.5mになる。この距離は運転手が衝撃を感じてからブレーキがかかるまでの空走距離に相当する。「1.5 mスリップ痕」から計算されるバスの制動初速度4.5 m/s(16.2 km/h)に一般的な反応時間0.75秒を乗算すれば空走距離は3.4 mになる。つまり、空走距離1 mの場合の反応時間は約0.2秒となるが、あのアイルトン・セナでも不可能な反射神経の持ち主でないと成立しないことになる。多少バスの車体角度を変えても、この空走距離の辻褄が合うことはない。
つまり、タイヤ痕(A)は白バイが衝突したタイヤ痕ではないという結論になる。

さらに重箱の隅をつつけば、Y鑑定で白バイの燃料タンクがつぶれていることを乗員の身体が当たったとして計算に反映しているが、実際は燃料タンクは乗員が当たってつぶれた形跡はない。計算結果への影響は大きくないが、無いことを有るとするのは不正確という印象を持たざるをえない。
科捜研算定書とY鑑定は、同じ現場状況からこれほど違うスジ書きに仕立てることができるのだ。くどく書いたが、運動量保存則に放り込む数値がいかに根拠が無いデタラメなものかおわかりいただけたと思う。

といいながら、またもや百歩譲って、でっちあげた「バスの飛び出し角度82度」を是として認めても、計算結果はどのようにも操作できる。以下にその例を示してみる。

●計算結果を自在に変えられる運動量保存則
Y鑑定士は根拠もなく都合のよい数値を引き出している。警察が1.2 mとしたスリップ痕を「スリップの長さをL=1.5 mとする」として、根拠を示さず勝手に決めている。言うまでもなく、都合がいい数値で計算するためであるが、弁護側が比較写真で示したように、延長されたスリップの長さは2.0 mで描かれている。
事実をねじ曲げる欺しのテクニック

スリップ痕を1.5 mとした場合と2.0 mとした場合、運動量保存則の計算結果がどう変化するか計算してみた。まず、変わるのがバスの速度となる制動初速度である。既知の公式から制動初速度を求めると、1.5 mの場合4.5 m/s(16 km/h)に対し、2.0 mの場合は5.2 m/s(19 km/h)となる。

この数値で注意すべき点は、白バイの引きずり抵抗を無視していることである。前述のように、白バイの引きずり抵抗を含む合成摩擦係数μ=1.2として計算すれば、制動初速度は6.9 m/s(25 km/h)となる。Y鑑定士が使った運動量保存則の計算式そのままで、これらの制動初速度と路面値摩擦係数の条件だけ差し換えた計算結果は下表のようになる。表の一番上の行はY鑑定のオリジナル数値である。
スリップ痕長 (m)路面摩擦系数 (μ)バスの制動初速度 (m/s)白バイの速度 (km/h)
1.50.74.570.0
2.00.75.280.9
2.01.26.9107.4

この結果からわかるように、スリップ痕は短く、バスの制動初速度を低く見積り、白バイの引きずり抵抗を無視したい事情があることがわかる。だが、スリップ痕が右に曲がっているのは、白バイを挟み込んだ抵抗によるものと警察が公言している。質量9トン近いバスのスリップ痕が曲がるほどの引きずり抵抗を無視することは不当な作為になる。したがって、撮影された2.0 mのスリップ痕と白バイの引きずり抵抗を考慮すると、白バイの衝突速度は80〜110 km/hほどになるという計算結果になる。

上記で差し換えた数字は、科捜研算定書やY鑑定のような根拠のないでっち上げ数字ではなく、ちゃんとした根拠に基づく修正すべき数値である。これは便利な計算式だ(笑)

描かれたスリップ痕の長さが2 mだったことを示す写真を突きつけられても、検察がその事実を受け入れないのはこういう事情がある。また、路面に擦過痕がありながら、白バイの引きずり抵抗の影響も認める訳にはいかない。運動量保存則を逆手にとれば、白バイが暴走してきたことが「証明」されるからである。
以上から分かるように、科捜研も御用鑑定士も痕跡から積み上げた計算結果ではなく、欲しい計算結果に合わせて数値を決め、それに合わせて図面を描いている手口が明らかになった。まさに「ゴミを入れたら出てくるのはゴミ」そのものだろう。すなわち、参考にもならないどころか、でっち上げに便利なツールと切り捨ててもよい。
これが運動量保存則の正体である

手みじかにと思いながらくどくなってしまった。それほど、突っ込みどころ満載の鑑定ということだ。

*:等加速度運動式[a=(V-v0)/t]から。加速度 a、 t秒後の速度V、初速度v0、経過時間 t

この記事および図版は自前でした。無断転載歓迎です(笑)


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Author:監視委員長
職業:元自動車メーカー社員で、バイクや自動車の取り扱いや技術に詳しいらしい
資格:自動車整備士資格があるらしい
趣味:写真を撮るのが得意らしい
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