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破損箇所から衝突が分かる

この記事は、御用鑑定の比較一覧のNo.4「白バイの衝突姿勢」と関連事項の解説である。

●えぐれ傷の高さよりサイドメンバーの高さが50mm低い
直立状態で白バイの左メインフレームのえぐれ傷の高さは、シート座面とほぼ同じ高さである。一体どのくらいの高さになるのか。

白バイ(ホンダBC-RC49型車)のベース車VFR(ホンダBC-RC46型車)のシート高が805mmである。この高さは諸元値と言われる数値で、型式認定書に記載される公式な数値である。ただし、このシート高は接地1G(装備重量の車両で空車状態)で車両が直立した状態で計測される高さである。体重55kgの乗員が乗車した状態(「乗車1G」と呼ばれる)ではサスペンションが沈んでシート高が低くなる。旋回中は横G(正確には求心加速度の縦G成分)を受けてシート高の沈み量がやや多くなる。

白バイ損傷4.

このクラスのロードスポーツバイクのホイールトラベル(タイヤが上下できる範囲)は100~120mm程度であり、走行中はストロークの半分程度までサスペンションが縮んでいると一般的に考えられるため、シート高は805─55=750mm程度となり、その高さが動的なえぐれ傷の高さと考えられる。フレーム幅とタンク幅からも推定すると、白バイの左メインフレームに付いたえぐれ痕の位置は、白バイが直立状態で高さ約750mm、車体中心から150 ~200 mm 左側の範囲にあると考えられる。

白バイ衝突時バンク角

●白バイのえぐれ傷から推定できるバンク角度は35 ~40°
一方で、白バイにえぐれ傷を付けたと見られるバスの強度メンバーは、高さが700mmであることを示す写真がある(1番目の写真右側)。強度メンバーは白バイのえぐれ傷の高さより50mm低い位置にあり、直立姿勢では両方の高さが合わなくなる。ただし、白バイが右にバンクすれば、えぐれ傷の動的な高さとバスのサイドメンバー先端部と同じ700mm の高さになる。その時のバンク角度は35 ~40°の範囲になる。したがって、えぐれ傷の高さから白バイが直立で衝突したことにならず、車体を深く右傾させた姿勢で衝突したといえる。また、水平より上向きの傷は,白バイが倒れてからバスに踏みつけられた傷でもないといえる。

白バイ突き込み角度2

●二輪車のバンク角度は計算で求められる
白バイが衝突した時のバンク角が具体的になると、白バイがどういう軌跡を描いて走行してきたかが推定できる。

事故現場は、半径400 m という高速道路のカーブなみの緩い右カーブで、カーブの内側が低くなるカント角が付けられている。このカント角は、設計速度で走行する車両がハンドルを切らずに直進路と同様に安定して走行できるように設けられる。二輪車の場合は、直線路と同等に路面に対して垂直で走行できる角度となるが、これはカント角がない平坦路における二輪車のバンク角と等しいと見なせる。

二輪バンク角公式

二輪車が旋回するときのバンク角θは、遠心力(求心加速度)、速度および旋回半径と相関関係があり、以下の計算式で表される。
θ= tan-1(ν ²/g γ) 【ν:速度、g:重力加速度、γ:旋回半径】
半径γ=400 m、ν=16.67m/s(60km/h)、g=9.8(定数)
この条件で計算すると、60km/hの場合で4.06°のバンク角(路面カント角)となる。50km/h(13.89 m/s)の場合はθ=2.82°となる。ここの事故現場の設計速度は50~60km/hと考えられるため、路面カント角は3~4°程度であったと見てよいだろう。

計算式から分かるが、二輪車が45°のバンク角でコーナリングする場合、tan θ=1となるため、旋回中横にかかる遠心力(求心加速度)と垂直にかかる重力加速度が等しくなり、ともに1Gとなる。質量200kgfの二輪車なら外方向に200kgf相当の遠心力を受けてバランスを保っていることになる。わかりやすく例示すると、二輪車のバンク角を45°とすると、tan θ=1 であるため「ν²/g γ=1」となる。したがって、二輪車の速度が60 km/h (16.6 m/s)の場合の旋回半径γは、ν²/g=(16.6×16.6)÷ 9.8 = 28.1m となる。つまり、60 km/hで半径28mのコーナーを旋回すると1Gの遠心力を受ける。

この1Gの遠心力で静的な滑り出し限界点(最大摩擦力)と等しくなる場合が摩擦系数μ=1である。ただし、路面摩擦系数μ=1.0という公道はおそらく存在しない。晴天時に条件が良い舗装路でμ=0.7~0.8である。論理的には、条件が良い舗装路でも45°のバンク角で旋回すると、遠心力がタイヤのグリップ限界を越えて横滑りすることになる。いわゆるドリフト状態であるが、ほとんどの場合は転倒することになる。

●右に35 ~40°バンクした白バイの軌跡を推定
60km/hで衝突したとされる白バイは、回避旋回する前は、直線路と同等に路面に対してほぼ垂直で走行してきたと考えられる。その垂直状態から右へ35 ~40°バンクするとどういう軌跡を描くことになるか。

白バイ隊員の運転技量を考慮すれば、路面摩擦系数μ=0.7~0.8に対応する最大求心加速度が0.75G程度となる急旋回で回避しようとしたと考えられる。、前述の計算式(tan θ=ν2 /g γ)から、0.75Gの求心加速度とすると、tan θ= 0.754 = 37°のバンク角が限界となる。このバンク角は破損部の痕跡から推定した白バイの動的バンク角35 ~40°と合致するのである。

白バイの旋回進路計算

白バイが37°のバンク角で定常旋回した場合、tan θ= 0.754 であるから前項の計算式はν²/g γ= 0.754 となり、白バイの速度が60 km/h (16.6 m/s)の旋回半径γは、ν²/ 0.754g =(16.6 ×16.6)÷(9.8 × 0.754)= 37.3 m となる。

●白バイがどれだけ進路を逸れたか
同僚白バイ隊員の目撃証言から、衝突した白バイは衝突の約1 秒前に、明確にバンク姿勢になっていることが目撃され、右方へ緊急回避していたとされている。衝突した白バイが60 km/h (16.6 m/s)で走行してきたとすれば、バスの手前L₂ メートル手前のP₁ 地点で旋回を始め、37.3 m の半径でL₁ メートル(16.6 m)進行して右傾状態でP₂ 地点にてバスに衝突したことになる。これらの条件から、次のように白バイの進路逸脱量が計算できる。

白バイの進路計算:
●旋回円周長L = 2 πγ= 2 π× 37.3 ≒ 234 m
●白バイが進んだ円周(円弧)長L₁ =16.6 m(60 km/h 時の秒速=定数)
●白バイが回避中に旋回した角度θ ₂ = (L₁ / L) × 360 ≒ 25.5°
●白バイの旋回開始地点P₁とバスまでの距離L₂ =γ sin θ ₂ =16.1 (m)
●白バイの直進進路から衝突地点P₂ までの逸脱量L₃ =γ- (γcos θ ₂) ≒ 3.6 (m)
右に35 ~40°バンクした白バイは、衝突するまでに進路が3.6メートル右に逸れる計算になる。

●実際は白バイの直進から2.9m逸れた右折車線で衝突
弁護側は上記の計算結果が書かれた意見書を裁判所に提出したが、それにO御用鑑定士が噛みついてきたらしい。「いくら白バイ隊員でも重い白バイでそんなに(速く)旋回できない」と。なるほど。3.6メートルも右に進路が逸れたら、白バイはバスに衝突することなくかすめ抜けて行く。さすがに鑑定士を名乗るだけのことはあるようだ。どこまで正しく理解しているのか疑わしいが(笑)

上記の計算は、瞬時にフルバンク姿勢になったと想定した計算であり、結果は論理上の最大値である。実際は、オートバイをバンクさせるときにロール慣性というものが存在し、このロール慣性のために直立からフルバンク姿勢になるまで若干の時間的な遅れが生じる。どの程度の遅れがあるかというのは、車両質量、重心位置、ライダーの技量などによって異なるため一概には言えない。ただ、訓練を積んだ白バイ隊員の運転技量を考慮すると、実際の進路逸脱量は計算値(最大値)の80%あたりが妥当であろう。すなわち、現実を考慮した計算結果は3.6m×0.8=2.9メートル程度に補正されるわけだ。

白バイの走行軌跡

この2.9メートルという数字は、白バイが衝突したとされる右車線からバスが停止したとされる右折車線の距離(上写真のA〜B間の距離)と一致する。白バイに付いた衝突の痕跡から導かれる計算でも、白バイの衝突地点は右車線(A)ではなく右折車線(B)であることが裏付けられるのだ。

さて、裁判官はこのロジックをどう判断する?O御用鑑定士もY御用鑑定士も、技術的に否定できていないのだが。

当方のブログに掲載された記事および図版の無断引用はご遠慮願います。


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Author:監視委員長
職業:元自動車メーカー社員で、バイクや自動車の取り扱いや技術に詳しいらしい
資格:自動車整備士資格があるらしい
趣味:写真を撮るのが得意らしい
特技:若い頃にバイクのレースに出てたらしい

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